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監修の言葉―これからの学校に求められる情報発信のあり方|佐藤晴雄(日本大学教授)

保護者の間に広がる“消費者意識”

随分と前から、企業がサービスや商品をパック化して販売する傾向が強まってきました。古くはパック旅行サービスがあります。航空券とホテルなどをパック化し、場合によっては観光地めぐりなどもオプションに付けて販売するものです。最近では、引っ越しの「らくらくパック」などが登場し、荷物の移動だけでなく、梱包や清掃などのサービスを含めたサービスを提供しています。こうしたサービスが普及すると、消費者はお金さえ払えば面倒なことや自分が行うべきことも、すべて相手が行ってくれるものという意識が強まってきます。そして、結果が不満だと、すぐにクレームを寄せるのです。

今日、学校と保護者とのトラブルにも、そうした消費者意識が影響しているものと思われます。つまり、保護者には、自分の望むことを学校が何でも行ってくれるものという考えが強まり、自らが行うべきことも学校に依存したり、不満があるとすぐにクレームをつけたりするのです。

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教育的成果を得るには保護者の努力と苦労が必要

しかしながら、サービスの中には顧客が一定の努力と苦労を覚悟しなければ、よい結果を生まないものがあります。例えば、医療サービスがそうです。患者である顧客は、医師の指示に従って服薬したり、訓練したりしなければ、病状が改善しにくくなります。すべてを医師に頼ることはできないのです。フィットネスクラブのサービスも同様でしょう。トレーニングという苦労を重ねなければ、成果は得られません。

学校は、「パックサービス」ではなく、むしろ医療サービスやフィットネスクラブのサービスと同じような性格を持っています。児童生徒や保護者も一定の努力と苦労を覚悟しなければ、期待通りの教育成果が得られないはずです。ところが、保護者の中には、学校に対して「パックサービス」を提供する機関であるように意識している人がいます。そうした保護者の認識が、問題だと言えます。

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学校側の「閉ざされた姿勢」が生んだ保護者の依存

そうだからと言って、保護者だけを責めることはできません。外部との関係性を持ちたがらず、自己完結的に運営しようとしてきた学校にも問題があります。つまり、学校側に保護者や地域との関係を拒否して、自らの力だけで教育を進めようとする“閉ざされた姿勢”があったからこそ、保護者は学校任せの傾向を強め、不満や問題が表面化したときにクレームを申し出るようになったと考えられるのです。

引っ越しのパックの場合、依頼者は荷造りなどに立ち会わず、また手伝わずに済みます。しかし、そうした場合には、引っ越し後の荷物配置などに不満を感じる人が珍しくありません。荷造りに立ち会い、業者の手伝いをしていれば、満足のいく結果になったはずです。学校が保護者にパックサービス機関のような印象を与えてしまえば、クレームが増えるのは当然です。

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大切なのは教育の正しい知識や情報を発信すること

結局、学校にとって大切なのは、自己完結的な姿勢を改め、保護者や地域との関係性を強めることです。病気の治療において医師と患者の協力関係が不可欠なように、学校と保護者・地域にも協働関係が不可欠です。すなわち、学校は保護者や地域に教育のプロセスを随時示し、必要なときには協力を求め、また保護者や地域が必要なときには進んで協力するような関係性を築くことが大切なのです。保護者や地域に対して、任せて安心というパックサービス機関ではなく、学校と共に教育を担うという意識を持ってもらうことがポイントになります。医療行為で「インフォームドコンセント」が重視されるようになったのと同じように、学校にも保護者や地域に教育の正しい知識や情報を提供する姿勢が求められます。

その重要かつ有力な手段となるのが学級便り(学級通信)や学校便りなどの情報媒体です。学級便りや学校便りを随時保護者に提供して、学級や学校の様子をリアルタイムに近い状態で示していけば、保護者も教育のプロセスを把握することができます。むろん、地域の人々にそうした情報を提供することも大切です。

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本サイト「Teachers Online-先生のミカタウェブ-」について

しかし、便りの編集・作成はとても手間暇のかかる作業であるため、発行が不定期になったり、紙面がマンネリ化したりして、結局、保護者や地域に読んでもらえないという事態になりがちです。そこで、登場したのが本サービス「Teachers Online-先生のミカタウェブ-」です。本サービスを利用して、多くの保護者が読んでくれる、魅力ある学校便り・学級便りを編集・作成すれば、より多くの保護者に学校のことを理解していただけるはずです。このサイトには、多忙な先生方が便りを作成しやすいように、使いやすい文例や話材を数多く用意してあります。この中には、教育に関する用語解説なども提供されているので、教育時事情報を把握するのにも役立ちます。

本サービスを活用して効果的な便りを作成し、保護者の学校理解を促す――その結果、保護者は学校の教育プロセスを把握し、協働的な意識や姿勢を持つようになり、結果として学校と保護者の間によい関係性が築かれるのです。

学級便りや学校便りは、保護者と学校の関係性を円滑にする潤滑剤なのです。だからこそ、一人でも多くの先生方に本サービスを活用していただくことを願っています。

略歴

佐藤 晴雄(さとう はるお)

佐藤 晴雄(さとう はるお)

日本大学文理学部教授。東京都大田区教育委員会社会教育主事、帝京大学助教授などを経て2006年から現職。専攻は教育経営学・生涯学習論・青少年教育論。“開かれた学校づくり”や教育ボランティア制度などをテーマに、多くの教育雑誌などに記事を寄稿。ユニークな視点で語られる講座や論説は、現場実践に寄与する内容が多く定評が高い。主な著書に『「保護者力」養成マニュアル』(時事通信社)、『学校を変える地域が変わる』(教育出版)など。

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