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監修の言葉―今、学校・教師は保護者とどう向き合うべきか|小野田正利(大阪大学大学院教授)

孤立する保護者たち

「保護者は怖い存在だ」と思っていませんか? 「関係づくりが難しい」と悩んではいませんか?――今、学校現場では保護者の方が、わが子の学校生活について、一方ではこれまでにも増して要求が過剰になる傾向と、他方でまったくの無関心の状態にある傾向が、二極分解しているように感じられます。

前者は、社会全体の満足基準・期待水準が急上昇し、また「わが子意識」(自子中心主義)にさいなまれる中で、学校や教師が「ここまでやってくれて当然」だし「言わなきゃ損」という形で、要望・苦情時にはイチャモンというような形で現れるものです。

後者は、経済状態の厳しさから、ゆとりもなく自分のことで精一杯の中で、「子どものことは学校に任せているんだから、余計なことは求めないで」という無反応を装わざるをえない気持ちから来ているように思います。

しかし、どちらにも共通しているのは、保護者同士が孤立しているということでしょう。地域の「のりしろ」が減り、親同士の横のつながりが薄くなる中で、思いや願いの表し方がヘタになってきているといえます。

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子の成長を願う気持ちは、保護者も教師も同じ

無論、学校には何ともできない要求が寄せられることも確かにあります。教師には「向き合うべき課題」と「聞き流すだけでいい話」、そして「適切な距離を保つ必要のある問題」があると思います。それを見定めるには、まずは自らが語りかけ、話を聞きながら「思いや願い」はどこにあるのかを見て取る姿勢が必要だと思います。

表面に現れたものだけを見ていると、判断を誤ります。子育ての不安、学校に対する不信や怒り、保護者自身の置かれた家庭・地域・職場での状況などがどうなっているかを、一歩引いたところで見つめる気持ちを持ってほしいのです。子どもの成長を願う気持ちは、保護者も教師も同じでしょう。「教師は理屈」で説明しようとする。しかし「親には思い」がある。そこにはズレが生まれやすいものかもしれないということを自覚しておくだけで、不必要な摩擦やトラブルをずいぶんと防ぐことができるのかもしれません。

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学校がどうなっているかを共に分かり合う

「学校は世間知らず」と批判されることが多くありますが「世間もまた学校知らず」です。今の硬直した状況を打開する第一歩は、お互いの置かれた状況を、きちんと確認し合うということから始まるのでしょう。無茶な教育改革で翻弄される学校現場、そして子どもと触れあう時間が急速に減少している教師たち。他方で、互いの悩みを打ち明けることも難しく、必死に生きていかざるをえない保護者たち。

学校にはできることとできないことがあります。そして教育は万能ではありません。学校が、どのような仕組みで、何をおこなってきているのか。教職員と保護者の協力により、学校がどうなっているかを共に分かり合う「学校ナビ」あるいは「学校ガイドブック」づくりに着手し始めたところも多くあります。

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学校にエールを送る保護者もいる

学校や教師に対する批判ばかりではありません。実は、大きな声では発しないけれども、先生たちには元気で頑張ってほしい、子どもたちに学力はもちろん、他の子とも仲良くやっていく社会力を身につけさせてほしい、それには先生がきちんと子どもと向き合う時間が必要だと思っている保護者はたくさんいるのです。

学校には、多くのエールがある。きつい時代だからこそ、教師はこういった保護者や地域社会からの善意の期待を受け止める、はつらつとした気持ちが必要だと思います。

略歴

小野田 正利(おのだ まさとし)

小野田 正利(おのだ まさとし)

大阪大学大学院人間科学研究科教授。教育学博士。長崎大学教育学部講師などを経て1997年から現職。専門は教育制度学・学校経営学。「学校現場に元気と活力を!」をモットーに、近年では保護者の無理難題要求(イチャモン)や学校保有情報の発信(片小ナビ等)などをテーマに、現場に密着した研究活動を展開している。年間に舞い込んでくる講演依頼は数百件にも上る。主な著書に『悲鳴を上げる学校』(旬報社)、『親はモンスターじゃない!』(学事出版)など。

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