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学級便り&通信サポート―Q&A

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監修=佐藤晴雄(日本大学教授)

初任者や若手の先生方の中には、学級便りについて分からないことも多いと思います。書く内容、発行の頻度、文字量、事前の手続き、注意すべき点等々、本コーナーでは学級便りに関するさまざな疑問にお答えします。

Q01. 学級便り(たより)&通信は、何のために書くのですか?

法的に学級便り(学級通信)について定めたものはありません。すなわち、少なくとも制度面からは、教師が学級便りを出す義務は課されていません。

それなのに、なぜ多くの先生方が学級便り等を出しているのでしょうか。それは、端的に言えば“教育活動を円滑に進めるため”です。

近年、保護者が学校・教師を見る目は厳しくなっています。また、子どもの多様化・個性化により、学級経営も難しさを増しています。学級便りを定期的に発行し、学校や教室の情報、教育方針などを積極的に発信していくことで、保護者からの信頼を獲得し、子どもとのきずなを深めることができれば、日々の教育活動はきっとスムーズに進むに違いありません。

学校便りを定期的に出すには“ネタ”が不可欠です。“ネタ”を探すには、日ごろから子どもたちの様子をつぶさに観察しておくことが必要です。つまり、学級便りを書くことは、指導の円滑化と教師としての資質向上にもつながるのです。

Q02. “便り”と“通信”の違いは何ですか?

“学級便り”と“学級通信”。どちらもも使われる言葉ですが、厳密な違いはなく、地域や学校によって違う呼称が用いられているようです

ちなみに、“学年便り”と“学年通信”も同様の関係にあるようですが、“学校便り”については“学校通信”という呼び方はされていないようです。

インターネットのGoogleで検索してみたところ、“学級便り”は61万2千件、“便り”をひらがなにした“学級だより”は30万4千件、“学級通信”は29万4千件という結果が出ました(2009年2月現在)。

この数だけを見ると、“学級だより”が一番ポピュラーな呼称のようです。

Q03. 学級便り(たより)&通信には、どんなことを書けばよいのですか?

学級便りに書くべきことは、“教師として保護者や子どもたちに伝えたいこと”です。記事は、保護者向けのものと、子ども向けのもの、そして両者に向けたものに分けられ、具体的には、次のようなものが挙げられます。

活動内容系
クラスでの出来事/子どもたちの様子/行事や特色ある活動の報告/学習活動の内容
連絡・依頼系
保護者への連絡・お願い/教育情報(ニュース、トピック等)
思い伝達系
担任の思い、学校・学級の方針など
交流系
子どもの作品/保護者からの
連絡・依頼系
保護者への連絡・お願い/教育情報(ニュース、トピック等)
その他
ちょっとイイ話(偉人の名言、エピソード等)/親子で楽しめるクイズ

注意したいのは、記事のバランスです。担任の方針や思いばかりで固められた学級便りは、保護者にとっては退屈で仕方がないですし、かといってクラスでの出来事ばかりをつづっても、担任の姿は見えてきません。

さまざまなタイプの記事をバランスよく取り上げ、担任としての人柄が伝わるとともに、保護者と子どもの間で会話が生まれるような学級便りにしていくことが大切です。また、特定の児童生徒を話題にする場合には、個人が特定されない方がよいことがあるので、留意する必要があります。さらに、よい話題でも同じ児童生徒に偏らないようにすることも大切です。

Q04. 紙のサイズと文字量について教えてください。

紙のサイズに決まりはありません。

最もポピュラーなのは“B4判”の“見開き1枚”というタイプで、古今東西を問わない学級便りの“王道”といえるでしょう。

ただ、最近では行政機関や民間企業を中心に、A4判の書類が広く普及するようになり、学級便りもA4判で出す先生が増えています。保護者の中には、学級便りをファイリングしてくださっている人もいますので、保管しやすい標準的な判型(B4・A4など)で出す方が無難かもしれません。

文字量にも特に制限はなく、状況によっては2ページで発行したり、両面印刷で発行したりする先生もいます。

ただ、あまり文字量が多くなると、保護者が読む気をなくしてしまう可能性がありますので、毎回なるべく“B4判1ページ”“A4判2ページ”など文字量を固定し、特別なことがあったときだけ“増大号”を発行するようにするとよいでしょう。

Q05. どのくらいの頻度で出したらよいですか?

学級便りを出す頻度も、先生によってまちまちです。

学期に数回という人もいれば、毎週1号と決めている先生もいます。

大切なのは、無理のないペースで、計画的に発行することです。

4月に「毎週発行します」と宣言したのに、その後が続かないようでは、保護者や子どもたちからも「計画性のない先生」と思われてしまいます。

ある先生は、4月の年度初めに“第100号”を発行し、その後“99号、98号、97号…”とナンバーを減らしていくことで、自ら“年間100号”という目標を達成しました。ほぼ週に2~3回のペースで発行していた計算になります。

学校の多忙化する現状を考えると、週2~3回の発行というのは非常に厳しいものがあります。自身の日ごろの仕事量、1号あたりの作成に要す時間、保護者の負担などを考慮し、無理のないペースで発行することが大切です。

Q06. パソコンで作った方がよいでしょうか?

パソコンを活用すると、さまざまな便利ソフトが使えます

年配の先生の中には、手書きの温かみを大切にしている人も多いようですが、最近ではパソコンのソフトウェアで作成する先生も増えてきました。最も多いのは、ワード(マイクロソフト)と一太郎(ジャストシステム)ですが、最近ではそれ以外の専門的なソフトウェアを使っている先生もいるようです。

パソコンを使うことにはいくつかの利点があります。その利点として、以下などが挙げられます。

  1. 文字がキレイで読みやすい
  2. 文章やレイアウトの変更が簡単
  3. 作成が効率的
  4. デジタル画像などの加工・貼り付けが簡単
  5. 保存と検索がしやすい
  6. カラーでの出力が可能

しかし、変換ミスによる誤字・脱字が起きやすいのが、パソコン作成の弱点でもあります。

「先生もこの程度か・・・」と思われないためにも、変換ミスによる誤字・脱字がないか、事前に十分チェックしてから発行するようにしましょう。

Q07. 発行する前に、誰かにチェックしてもらう必要はありますか?

学級便りとはいえ、学校から発信される文書であることに変わりはありません。

必ず、事前に管理職や学年主任の先生に目を通してもらってから発行するようにしましょうより多くの人にチェックしてもらい、さまざまな観点からアドバイスしてもらうことで、文章力や作成技能は高まります。

管理職や先輩教師のアドバイスは、謙虚な気持ちで積極的に受け止める姿勢が大切です。

Q08. 同じ学年の他のクラスと足並みはそろえるべきですか?

学年での共通理解はある程度必要になります。

同学年の他クラスの先生から「○○先生があんまり熱心に便りを出すから、私の立場がないじゃないですか」と文句を言われたとのエピソードがあります。確かに、同じ学年であるクラスは週1回発行しているのに、あるクラスは発行していないという状況では、保護者の不公平感が高まるに違いありません。

学級便りは、学年で必ず足並みをそろえなければダメというものではありませんが、事前に学年間でしっかりと話し合いをして、共通理解を図っておくことが大切です。

Q09. 子どもの作品は載せても大丈夫ですか?

学級便りに子どもの作文や感想文、イラストなどを載せると、保護者や子どもたちに喜ばれます。ただし、いくつか注意点が必要です。

一つ目は、プライバシーの問題です。

子どもの作文には、家族のことなどが書かれていることがあり、そのまま掲載して家庭のプライバシーを侵害してしまうケースが珍しくありません。家族のプライバシーには十分に配慮し、必ず子どもと保護者に許可を得た上で掲載するようにしましょう。学級便りとはいえ、子どもや保護者以外の人の目にも触れることに留意しなければなりません。

二つ目は、作文・感想文内にある誤字脱字です。

間違った字のままの作文が学級だよりに載ると、子どもが恥をかき、保護者からも不信感を持たれてしまいます。作文に間違いがないかをチェックし、間違いがある場合は修正するなど配慮してあげましょう。

三つ目は、イラストや作文などの作品が特定の児童生徒のものに偏らないよう配慮することです。

何度も載る子と、まったく載らない子が現れないよう注意しましょう。

Q10. その他に注意すべきことはありますか?

学級便りは、保護者・子どもとの信頼関係を深めるために発行するものです。

その意味でも、ちょっとした無知や不注意から、トラブルになるようなことだけは避けたいものです。具体的には、以下のような点に注意してください。
  • 子どもの住所・メールアドレスなど、個人情報は載せないようにする
  • 年間を通して、すべての子どもが平等に取り上げられるようにする
  • 著作権を侵害するものがないか注意する
  • 月別にタイムリーな話題を取り上げる
  • 保護者への敬意と感謝の意を忘れない
  • 学年便りや学校便りと同じ内容が載らないようにする(重複する事項を載せる必要がある場合には、学級だよりの方をより具体的に記述する)
  • 文章は簡潔、かつ平易な表現にし、学校でしか通じないような専門用語は使用しないようにする

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